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東京ビクトリー法律事務所からのお知らせです。

勝訴判決が判例時報に掲載されました!

2015.10.14

私が前法律事務所(神奈川さいわい法律事務所)に勤務していたときに受任した事件の勝訴判決(横浜地方裁判所川崎支部平成26年11月26日判決)が,判例時報(2266号)95頁に掲載されました!→PDFファイル(判時2266巻95頁(横地川崎支部H26.11.26)

この事件は,地方在住の高齢者(判例時報では「Y2」)が,300万円しか借りるつもりがなかったのに,貸金業者(X)の担当者やその関係者の主導のもと,第三者(Y1)を名義上の借主とすることで,1300万円もの多額の借金の連帯保証人にさせられ,かつ,その借金の担保として高齢者が所有する不動産に根抵当権が設定されてしまったという,弱者を食い物にした事件でした。

本件のように契約の無効や取消しを主張する事件では,連帯保証契約書,根抵当権設定契約書といった契約書に本人の署名があり,実印が押され,しかも印鑑証明書も渡してしまったのであれば,契約を覆すことは非常に困難といえます。特に,実印を押して,印鑑証明書まで渡した場合は,契約書をきちんと読んで契約内容に納得して契約を締結したと判断されてしまいます。

しかし,本件では,相手方(X)から提出された証拠(契約書類等)に表れた矛盾や問題点,契約締結に至った経緯や動機等を詳細かつ丁寧に主張するうちに,徐々に本件の全貌が見えてきました。尋問では,Y1がXの担当者との間の裏話を暴露して,Xの担当者が名義貸しに関与していたことが明らかとなったことが決定的となり,本件につき勝訴判決を勝ち取ることができました。

本判決で特筆すべきは,裁判所が信義則上の保証人保護義務を認めたことにあります。XとY1との間の金銭消費貸借契約が民法93条ただし書類推適用により無効となった結果,附従性により,連帯保証契約は無効となりますが,附従性がない根抵当権設定契約は無効とはなりません。そこで,私は,裁判例では認められることは多くないものの,学説上は有力となっている「信義則上の保証人保護義務」を主張し,Xが同義務に怠ったことによる契約解除を主張したところ,裁判所も私の主張を容れて保証人保護義務不履行による解除を認めました。

なお,本件は控訴されましたが,控訴審でも勝訴判決を勝ち取りました(東京高等裁判所平成27年6月4日判決(確定),判例集未登載)。

受任してから3年以上かけて解決した思い出深い事件です。この初心を忘れずに,日々精進して参ります。

 

 

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